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Vol.45
幸せの国での一日
ブータン王国・ブムタン/Bhumtan, Kingdom of Bhutan

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

ブータンの古都ブムタン周辺に点在する小さな農村のうちのひとつを訪れた。

村には15軒ほどの伝統家屋がある。そのうち5軒ほどは村の中心地付近に集まっていて、残りは畑を隔てた先などに点在している。山の斜面に広がる村はとても美しい。杏の花が咲き、緑のなかに彩りを添えている。山の斜面は松林がきれいに立ち並び、畑の周りには黄緑をした若い木々が萌えている。そのなかに木造家屋が埋もれるように点在している。

村の中の建物のうちの一軒を訪れた。家屋は三階建て。一階は家畜。二階は住居。半屋外の三階は物置である。軋む木造の階段を上り、屋内へ。窓から差し込む自然光がとてもきれいである。

部屋の真ん中には薪ストーブがあり、壁際にはかまどがある。そこにはいくつもの鍋が並び、奥さんが食事の準備をしている。その間、アラーと呼ばれるお酒を飲み(日本のお酒とまったく同じ)、バター茶を飲み、そのあとに今度は濁り酒が振る舞われた。

伝統衣装であるゴを着た村の少年たち

この家屋のなかで伝統衣装であるゴを着た人たちに囲まれていると、一体ここはいつの時代なのかとわからなくなってしまう。この家の主人は、がっしりとした体格に肉付きの良い顔つきをしていて、その人があぐらをかいてお酒をついでくれる。

しばらくすると、料理が目の前に並んだ。赤飯、トウガラシとイモのスープ、干し肉とほうれん草とトウガラシの炒め物、平麺のようなものにトウガラシをまぶしたもの、そしてこれは外せないブータンの定番料理チリチーズ。チリチーズはブータンでご飯を食べる時に、必ず出て来る料理である。とにかく辛い。でもおいしい。

食後、家屋が数軒集まる村の中心に行った。この日は村で小さなお祭りがある。500年も前から続く祭りで、畑での収穫が一段落したこの春の時期に、一週間、村人全員が一切仕事をしないという。

みなが集まる大きな部屋の真ん中では女性たちが輪になって踊り始める。男たちは壁際にもたれて酒を飲みながら踊りを見守り、時折誰かが奇声をあげている。

この村人たちの優しさと村の美しさ。女性たちの力強さと淑やかさ。踊りに歌声に笑顔。村の大地から生まれた酒と食べ物のおいしさ。老人の顔に刻まれた皺の深さ。子どもの頬の赤さ。いつしか酒の酔いが回ってきて、ふらふらする頭でそれらを確認し、そして何度もここはなんていい村なんだと感じ続けた。

最後に村人たちと一緒に踊り、手をつなぎ抱き合った。
濃く、長く、いい一日だった。

 

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。現在、世界一周の旅を敢行しながら作品を寄稿中。立ち寄った国はすでに10カ国を超えた。
公式サイト www.uruma-photo.com

著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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いま、世界一周の途中。

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