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Vol.35
春の地中海
Cinque Terre, Italy/イタリア・チンクエ・テッレ

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

 切り立った崖にへばりつくように続く小道を歩く。狭い斜面に丁寧に添え木されたぶどう畑が広っている。その向こうには地中海の青。地中海の海の色は印象的である。透明感に満ち満ちていて、穏やかで、それでいて思慮深い。その色を眺めていると、目が離せなくなる。青い色が脳内を浸食し、穏やかな思いが心を満たす。水平線は長くまっすぐで、海の存在感を主張し、この星は海の星なんだということを語っているかのようである。

歩き疲れたらビーチで休憩。心地よい時間だった。

春だというのに照りつける日差しは鋭く、ジリジリと肌が焼けて行く感じがする。汗が流れ落ち、急な斜面を行ったり来たりしているうちに足に疲れが溜まっていくが、それもこの陽気の中では心地よく感じる。海から吹く風は穏やかで優しい。海は脅威ではなく、どちらかと言えば癒し。友人のような存在。空を流れる雲まで穏やかな表情をしているような気がする。

ここまで違うものなか。同じ地中海、同じ空、同じ太陽のはずなのに、そこから受ける印象は、アフリカから眺めた地中海とまるで違う。ここで過ごしていると、まるでこれまで旅して来た国々の出来事はどこか遠い世界のことのように感じられる。

日が暮れ、マッチ箱を並べたような家々が密集する小さな村にランタンの明かりが灯る。海に突き出したその村の明かりはまるで夜に浮かぶ舟のようである。街中から食器が重なる音や、子どもの泣き声や、石畳を行く人の足音が聞こえて来る。そしてまるで囁くような波の音。

イタリア、チンクエ・テッレで過ごした数日は、春に包まれてなんとも幸せな時間であった。困難に立ち向かって乗り越える鋭く力強い旅の決意ではなく、穏やかで優しい旅の気持をここで整えることができた。

また新たな形の旅の予感がした。

 

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。現在、世界一周の旅を敢行しながら作品を寄稿中。立ち寄った国はすでに10カ国を超えた。
公式サイト www.uruma-photo.com

著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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いま、世界一周の途中。

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