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Vol.32
アフリカ最後の夜
Chefshauen, Morocco/モロッコ・シェフシャウエン

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

地中海を見下ろす丘の上に広がるタンジェの旧市街。その一角にある古い安宿の一室でいまこの日記を書いている。今日で、長かったアフリカの旅が終わる。明日の朝にはボクは対岸に立っているだろう。

メディナの細い路地の先に夜の海が広がり、ジブラルタル海峡を越えた先にスペインの小高い丘が闇の中に静かに佇んでいるのが見える。目と鼻の先にヨーロッパがある。本当にすぐそこである。しかし、そこには実際の距離では測れない大きな違いがある。ヨーロッパとアフリカ。先進国と途上国。文明と原始。支配と被支配。

遠のくアフリカ、近づくヨーロッパ。地中海は青かった。

北米、中米、南米の旅を終えて、中東に入り、およそ10ヵ月かけて、中東からアフリカを旅して来た。

足を怪我し、指先から寄生虫の卵が生まれ、40℃を超す謎の高熱に一週間苦しみ、盗難に遭い、スーダンではスパイ容疑で秘密警察に捕まり、シリアではデモ隊に対して軍が発砲し死者が出るという場面に出くわした。エチオピア南部の未開の民族にカラシニコフの銃口を向けられた時もあった。

アフリカを旅するのは、そう簡単なことではない。何事も起こらずスムーズに一日が終わることはあまりない。しかし、このアフリカの旅を終えようとしているいま、それらの苦労は不思議とあまり記憶の中に残っていない。いまアフリカの旅を振り返って心の中に浮かぶのは、数えきれないほどの笑顔。

ゴロンゴロンの市場で恥ずかしげに笑顔を浮かべて通り過ぎた小さな少女、ドゴンカントリーの110歳のおじいさんが浮かべた笑顔、エチオピアの山奥の粗末な小屋でコーヒーをごちそうになった時の家族の笑顔。マダガスカルの弾けるような子供たちの笑顔。ザフィマニル族の村人たちが農作業のあとに小屋に集まりお茶を飲んでいる時、その部屋の中で溢れる笑顔。本当にさまざまな笑顔に出会った。

そのどれも、輝き、透明で、優しかった。

アフリカ大陸を旅した9ヶ月。
日々、怒り、笑い、泣き、悲しんだ。
この大陸ではすべてのものが生き、輝いていた。
生きる意味とは。幸せの定義とは。
アフリカは多くのことをボクに教えてくれた。

明日、地中海を渡る。
この旅も、ついに終焉に向かって進み始めた。

 

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。現在、世界一周の旅を敢行しながら作品を寄稿中。立ち寄った国はすでに10カ国を超えた。
公式サイト www.uruma-photo.com

著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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いま、世界一周の途中。

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