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Vol.25
旅人の島、マダガスカル
Anakao. Madagascar/アナカウ・マダガスカル南部

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

海岸線に並ぶピローグ。朝と晩、漁に出る
マダガスカル航空
日本からはバンコク乗り継ぎが最短、最速で便利
URL: http://www.airmadagascar.co.jp

マダガスカル南部に位置するトゥリアーラの街から海岸線沿いをトラックの荷台を改造したいまにも壊れそうなバスに乗り込んだ。

大量の荷物と乗客が隙間なく荷台に押し込まれ、窓ガラスのない窓枠からは、未舗装の道路から舞い上がる埃が絶え間なく入り込んで来る。粗末なスピーカーから大音量の独特のリズムを持つリンガラミュージックが流れ出し、乗客はその音に負けないように声を張り上げなにやら話している。いくつかの丘を越え、そのたびにバスのエンジンはとうんうんと唸り頑張って前へ進む。もみくちゃ状態の車内でなんとか窓側の座席を確保し、外を眺める。車窓にはモザンビーク海峡の海が、穏やかな表情で水平線の彼方まで広がっている。

バスはようやくのことでサンテ・アウグスタンという小さな漁村に辿り着いた。車外に解放された爽快感もつかの間、すぐさま浜辺に行きピローグを探す。船頭とのタフな値段交渉の末、アナカウまで行ってもらうことに。アナカウは海洋民族のヴェズ族が暮らす漁村である。浜辺からピローグに乗り込み、帆を広げる。その瞬間、船は滑るように海を走り北から吹く風を孕んで切り立った崖と穏やかな浜辺とが交互に入り交じる海岸線を南へと走り始めた。波は高く、水飛沫が真正面から止めどなく飛んで来る。はじめはなんとか避けようとしていたけれども、途中で諦め、2時間後にアナカウの村に辿り着いた頃には全身ずぶ濡れだった。

アナカウの村で過ごした3日間。それは僕の想像を超えた刺激と興奮に満ちた日々であった。照りつける太陽のもと朝から晩まで海で遊ぶ子供たち、早朝、冷たい風を掴んでピローグで沖に出て漁をする屈強な男たち、頭に大きな荷物を乗せ浜辺を歩く陽気な女たち。そのそれぞれの表情がたくましく、そして笑顔に満ちていた。旅人である僕をにこやかに受け入れてくれ、そして幸せに生きるということはどういうことかということを、その生きる姿で示してくれたような気がした。

マダガスカルという国は不思議な国である。この国を旅をしていると、いつも何かしらの高揚感が心の中にある。それはヴェズ族のような海洋民族の人々の笑顔だったり、バオバブの不思議な木の形だったり、みんながかぶっている麦わら帽子の色だったり、眼に飛び込んで来るものすべてが、旅人の好奇心を刺激し、更なる旅へと誘うのである。
この島に何があるのかと問われれば、何もないとしか答えようがない。しかしそこは旅人の心を刺激する島であった。
アフリカ縦断の旅もあともう少し。タビビトノキのマークがあしらわれたマダガスカル航空の機内に乗り込み、島をあとにした。

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。現在、世界一周の旅を敢行しながら作品を寄稿中。立ち寄った国はすでに10カ国を超えた。
公式サイト www.uruma-photo.com

著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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いま、世界一周の途中。

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