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Vol.1
福島の地から夢、そして希望を!
「ふくしま会議」から始まる、復興への道

室屋氏からの一本の電話

「直接的な復興支援活動はもちろんですが、僕ができることの一つは、パイロットとしての活動を通じて、現地で起きている福島の復興への活動を、メディアを通じて発信してもらい、より多くの人に知ってもらうこと」と室屋氏。

エアロバティックスパイロットで、当クラブスーパーバイザーである室屋義秀氏は、ふくしまスカイパークを拠点とする福島県民である。
福島は、室屋氏のパイロットとしての活動を支える重要な場所であり、そしてこの地は東日本震災による甚大な被害を受けた。ふくしまスカイパークの滑走路にはいくつもの亀裂が走り、準備を進めてきた世界曲技飛行選手権=WAC(World Aerobatics Championships)参戦への活動計画(※)は白紙に。練習飛行の再開目処が立たず、コーチとのトレーニングも叶わなかった。一方で、原発事故を受けた福島の現状を自身のブログで発信し続け、そして福島で生きるパイロットとして何ができるのかを自らに問い続けてきた。
被災後の状況下で、避難所生活を送る子どもを招いた「夢ふくらまそう福島の空 少年少女航空教室」(※)を開き、「Road from Fukushima~福島からの挑戦~」と銘打ち、1度は諦めかけたWAC参戦を果たすなど、飽くなき挑戦を続けることで、復興を目指す福島県民の不屈の精神を現してきた。
そんな室屋氏から1本の連絡がファウストA.G.運営事務局に入った。「ふくしま会議」への誘いだった。

※「夢ふくらまそう福島の空 少年少女航空教室」の模様はコチラ

※室屋氏のWAC挑戦の模様はコチラ

2011年GWにおこなった少年少女航空教室のひとコマ。

ふくしま会議で語られる現実

清水修二・福島大学副学長は、このふくしま会議の直前にウクライナ、ベラルーシの調査から戻ったばかり。2日目の分科会では、その調査内容をもとに議論が繰り広げられた。

さる11月11日。福島駅で室屋氏と合流し、会場へと向かう車の窓から見る福島市内は、朝から降り続ける雨のせいで、冷たくどんよりとした空気があたりを包んでいた。クルマを運転しながら室屋氏は言う。「今日はよく来てくださいましたね。今日は僕と一緒に、いち出席者として福島の復興について考えてもらえればと思います」。
東日本大地震の発生から8ヵ月目のこの日、「ふくしま会議2011」が開催初日を迎えていた。
チェルノブイリ原発事故による影響を受けたウクライナ、ベラルーシの調査団長を務めた清水修二・福島大学副学長を始め、作家で福聚寺住職の玄侑宗久氏、赤坂憲雄・福島県立博物館館長、遠藤由美子・奥会津書房 主宰、高橋美加子・南相馬市復興市民会議委員などが共同代表に名を連ねる、ふくしま会議は、県内外の市民と様々な有識者が福島復興への道筋を立てるための議論の場として、3日間開催された。会議に関わる全ての人はボランティアで参加しており、まさに手作りで市民主導のこの会議を実現させたのだ。
初日の11日は、全体会として福島大学にて福島市民と県内外の各界スペシャリスト約300人が、現在福島が抱える課題を共有し、そして復興のための議論を展開した。満員、立ち見も出た講堂の中、開会宣言で玄侑宗久氏は次のように述べた。
「福島は今、暗中模索の状態。けれど暗中模索だからこそ生きる価値があるのではないか。混迷の中にもフロンティアの力が芽生えつつある。この会議から新たなエネルギーが生まれることを念じてやみません」

共同代表で、開会宣言をした福聚寺住職の玄侑宗久氏。
1日目の全体会は、車座形式で行なわれた。

参加した市民は小さな子どもを抱える主婦や、農家、酪農家、漁業関係者、スーパー店主、市内の大学に通う学生など、老若男女、仕事も立場も幅広い層が一堂に会し、悲しみ、怒り、そして故郷に対する思いといった様々な感情をぶつけ合った。会場の空気は、屋外の重く冷たいそれと違い、白熱したものだった。全体会の模様はUstreamでも中継され、さらに日英同時通訳で世界中に発信するという、意欲的な試みも行なわれた。会議中も、リアルタイムで国内はもとより海外各国からもツイッターでメッセージが寄せられ、会場の参加者に共有された。

[Ustream録画] 全体会の前に行なわれた記者会見

ふくしま会議の趣旨が語られる。

以下、実際に会議で市民が語った声を抜粋する。

「大地震そして、原発事故によって、友人の農家たちも大変な苦難を受けている。まず、断水、停電、燃料不足によって牛乳の出荷を中止せざるを得なかった。経済困難になり、我々の精神も、そして先人が築いた様々な土地も崩れ落ちていった。除染の問題もある。公共用地から始まっているけれど、農地、酪農地は手つかず。我々農民は農地を基礎にして農産物を作ってきた。農地で踏ん張って福島から逃げないで頑張っていきたい。負けてたまるかという気持ち」
——―福島市で酪農業を営む方

「大地が汚染させられたことで、農業はもちろんこれからの人生を徹底的に変えられてしまったことに憤りを感じる」
——―喜多方市民から届いたメール

「福島大学に協力してもらい、安全な県品産を流通する仕組作りを進めてきた。7月13日から測定器を導入し、今まで1300ほどの農産物を測定している。実際には汚染されていない生産物が多いが、怖いから買わないという人がほとんど。県内の関係者だけではなく、業界全体で情報を出し続けることが消費者に安全なものを届けられる唯一の方法。自分の店の商品にベクレルの表記はしたくない」
——―福島市内でスーパーを経営する方

「お母さん達は遠くへ遠くへ行きたいと思っている。でも残らざるを得ないお母さん達は『人殺し』と、全国の心ない人たちから誹謗中傷を受けている。でも国や行政が育児放棄をしているため、こうしたお母さん達が苦しんでいるのが現状。今、福島の人々の心が分断している。その心を守ってほしい」
——―4歳の子どもを持つ、南相馬市在住の方

「放射能について日本は全く勉強してこなかったという反省点。世界で初めてとなる除染をしなければならないので、必死に勉強していかなければいけない。除染はこの1、2年が勝負だと思う。ここに投資をしないと人間の心がおかしくなってしまう」
——―飯舘村 菅野村長

「『廃炉にしろ』という福島県民の血を吐くような脱原発への叫び声がなぜ全国に届かないのか。メディアは何をしているのだろうか」
——―会議中リアルタイムで届いたツイッターより

「責任の所在は国と東電にあるのははっきりしている。除染については菅野村長も言っていたけれど、除染を待っていたら子どもはどんどん被爆する。子どもと妊婦さんはひとまずどこかに避難するという前提で進めなければいけない。そこをあいまいにしたまま除染を進めるのは疑問」
——―4人の子どもを持つ二本松市在住の方

[Ustream録画] ふくしま会議2011の1日目 全体会・午後の部

参加者たちの生の声を。

室屋氏の目を通して

ふくしま会議第1日目の全体会を終えて、室屋氏はどんなことを感じたのだろうか。
「県外の人から見たらすごく白熱していたように見えたかもしれない。けれど、実際福島の人々はもっといろんなことを思っているし、怒りや悩みを抱いているのが現実。今日ここに参加した人々はそんな複雑な気持ちを抱えながらも建設的に考えていて、前に進もうという気持ちが強い」と振り返る。
「我々がやるべきことは20年、30年先の次の世代の人々が、安全に暮らすことができる環境を作ること。福島が世界で最も過酷な地域になるのだから。もう元に戻ることはないことはみんな分かっている。でも乗り越えた日には、福島は金字塔になる。それに、広島・長崎が反核兵器の代名詞となったように、裏返せば福島は、喜ばしいことではないが、脱原発の代名詞となれる可能性がある。僕の拠点のふくしまスカイパークでも、あくまで構想段階ではあるが、太陽光や風力を始めとする自然発電や、より開発途中のエネルギー方式を採用するような、最新エネルギーの実用実験や運用モデルケースの場として運用する構想もでてきている。震災復興、そして脱原発を福島が引っ張っていく一助となれるよう僕も邁進していく決意です」
エアロバティックスパイロットとして、福島の上空でパフォーマンスを続けることは、普段地面を気にして下を向いている福島の人々の意識を、上に向かせることができる。見上げた空に、人々は小さくても何かしらの希望を見いだすことができるかもしれない。だからこそ、室屋氏は飛び続けるのだ。

[Ustream録画] ふくしま会議2011の2日目 分科会「放射能と向き合う」(福島大学 清水教授)

放射能についての専門的な知識を学ぶ。

Data

ふくしま会議2011
開催地:福島大学
開催期間:2011年11月11日〜13日

公式サイト
http://www.fukushima-kaigi.jp/
Facebookページ
http://www.facebook.com/FukushimaKaigi

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