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Vol.14
真夏の4時間耐久「SUPER TEC」
スーパー耐久2011第2戦FISCO

予選トラブルを乗り越え、総合6位完走!

SUGOでの開幕戦から2ヶ月、第2戦は場所を移しFISCO。スーパー耐久シリーズの中では、その過酷さが特徴となっている4時間耐久「SUPER TEC」だ。第一戦は悪天候の中、新しいマシンの扱いに苦労したFaust Racing Team(以下Faust.RT)のドライバー、FISCOでの戦いはいかに?

無念!予選アタックでのスピン

7月23日(土曜)。心配された台風も東に進路がそれ、朝から抜けるような青空。ディズニー映画「カーズ2」の公開記念スペシャルレースという今回のSUPER TEC、特設ブースがピットに設けられ、パドックも無料開放、子供連れの数がいつもより多くにぎやかだ。各チームに目玉のサンシェードが配られ、ピットレーンはカーズ登場マシンの集会のようになった。





SUPER TECは土曜予選、日曜決勝の2DAYレース。金曜日には占有走行が3セット用意されているが、Faust.RTは木曜日から練習走行を開始し、予選、決勝に向けセッティングを詰めていった。ラップタイムは、木曜日が1分51秒台、金曜日が50秒台と、次第にアップ、フレッシュタイヤで臨む予選は50秒を切るタイムが予想された。
昼前には、気温30度、路面温度40度を超え、真夏の耐久らしくなってきた。S耐予選の始まる午後には、さらに暑くなるはずだ。今回はAドライバーに金曜の占有走行でトップタイムを出した岡本、Bドライバーに佐藤、体調をくずしている堀がCドライバーという布陣だ。ST-1クラスはBMW勢4台とスポット参戦のポルシェを1台加え、総勢5台の争いとなった。

Aドライバーに指名された岡本は、予選タイムアタック3周目に1分50秒193を出すが、目標としていた50秒を切るタイムがどうしても出ない。予選15分、6周のアタックを終えて、インラップ(※)の周になった時にピットがどよめいた。すでに場内放送では100R出口でスピンしたマシンがあると伝えている。コースアウトし、ガードレールに沿うように後向きで止まっているのはゼッケン9、Faust.RTのBMWだった。
映像上は大きなクラッシュには見えないが、無線で確認するとフロントとリアをヒットしているようだ。幸い、Bドライバーの予選までは他クラスの予選を挟んで30分の時間がある。レッカー車に引かれてピットに帰ってきた様子では、フロント左のカウルが割れ破損している。ダメージの度合いは? 予選を走れるのか? ピット内は騒然としているが、ここから先はメカニックの仕事だ。ドライバーも関係者も遠巻きにするしかない。
(※注釈 インラップ……ピットインする前の周回のこと)

岡本「100R出口で前の車が突然スローダウン。急ブレーキを踏んでスピンした」とひと言。多くを語らず作業をじっと見守っている。

Bドラ予選まで残り時間わずか…

すぐさまリフトされたマシンは、タイヤ&ホイールがはずされ、足回りチェックだ。隣のペトロナスチームのメカもどういう状況なのか心配顔。チェック後さっそくバラされた左フロント。交換されたパーツは「への字」に曲がったタイロッド1本。BMW Z4の足回りはフォーミュラーカーと同じ構造で、細いロッドが曲がることで追突のショックを吸収したのだ。ここまでの作業は約10分。

土曜のレース進行はイベント満載のためタイムスケジュールどおりには進んでいなかった。Bドライバーの佐藤は、予選に間に合う可能性を信じて乗れる体制で待つ。ところがフロントカウルが予想以上のダメージ。ボディ側のステイが飛んでしまっている上に、予備のフロントカウルには補機類が付いていない。すべてのパーツを壊れたカウルからはずして付け替えねばならない。リア周りのチェックや補修も追いつかない。気温は上がり続けピット内は35度。Bドライバーの予選アタックを告げるストレートの爆音に、佐藤はレース用マスクを脱いだ。
メカニックの全作業が終わり、Cドライバーの堀が最後の予選を走行。タイムは1分50秒289と上々。マシンにも不具合はないようだ。決勝を走れることが確認できたところで、スピンした岡本に詳しい状況を聞いた。

岡本「タイムアタックが終わりインラップの周の100Rで、前を走っていた車がペース走行から急にスローダウン、オカマをほりそうになったので急ブレーキ。コーナーリング中だったためリアが流れ出してスピンをしてしまった。コースのイン側ガードレールにフロント左から当たって、その反動でリアもぶつけた。インが芝生だったので最後までコントロールできなかったのが悔しい」
岡本は付け加えるように続けて言った、
「インラップだけに言い訳無用。経験不足と油断でしかない。Bドライバーなのにアタックができなかったこと、チームに迷惑かけたこと、申し訳ない、思い切りへこんでる。明日は自分の役目をキッチリと果たすしかない」

決勝グリッドを決める予選は、Aドライバー+Bドライバーの合計タイムで競われる。Bドライバーのタイムがないため、大会審査委員会裁定により、決勝当日のフリー走行出場を条件に、Faust.RTのマシンはクラス最後尾スタートとなった。

4時間後のチェッカーを目指して!

7月24日(日)。決勝当日は曇り、肌寒さが残る朝だ。8時半からのフリー走行を、予選を走っていない佐藤から行う。ここで佐藤はチーム初の49秒台、1分49秒677を3周目のラップでたたき出す。この時点でフリー走行中のSTクラス3位のタイム。他チームは決勝に備えての最終調整かもしれないが、木曜、金曜、土曜と走って来て、初めての49秒台、ピット内も「やれる」の手ごたえを感じていた。ドライバーチェンジの練習をしながら、岡本が残されたフリー走行の時間を走る。





決勝のスタートドライバーは堀。体調が万全とはいえないため、無理しないよう行けるところまで。
12時55分、フォーメーションタップスタート。長い4時間の闘いが幕を開けようとしている。
12時59分、ほぼオンタイムでレースがスタート。堀は1コーナーを無事クリアし、1周目をスタート順位の6番手で通過、2周目、3周目と1分50秒台を出しピタリと前走車を追走、4周目にはラップを49秒台に入れる。

堀は安定した走行で50秒から51秒前後でラップを刻む。前車との差は1秒、さらにその前との差も1秒と、ST-1クラスの中で、かつてないほどの“レース”をしている。クラス3位を走行中のポルシェが途中タイヤの消耗なのかタイムが落ち始め、コーナーでミスをして11号車のZ4に抜かれ、さらに次の1コーナーでも止まり切れず堀にも抜かれた。これで堀はクラス4位。前を走る11号車を抜けば表彰台圏内だ。
レース開始から1時間になろうとする直前の32ラップ目、堀はドライバー交代でピットに戻って来た。タイヤ交換と燃料補給を行い、次のスティントを受け持つ佐藤へとバトンタッチする。
ヘルメットを脱いだ汗ぐっしょりの堀に対して、
岡本「初めてレース中に表彰台争いだよ」
堀「でしょ、でも疲れた~、次は体調に気をつけないとね。走れてよかった」

上位陣の中では一番早いピットインだったため、いったん15位に順位を落とすが、2ndドライバーの佐藤は着実にクラス下のマシンをかわしながら順位を上げ、38周目には10番手、43周目には8番手、64周目7番手とポジションを上げた。
レースの残り時間、1時間45分となった70周目に、佐藤はピットイン。最終のロング・スティントを受け持つのは岡本だ。
すでに、この時点では、3ストップは決定的となっていた。大排気量のBMW Z4は燃費が良いとは言えず、2ストップでも燃料はギリギリ。堀のスティントが1時間と短かったため、最終スティントは燃料補給のために1回ピットに戻ってくる必要があったのだ。
アウトラップは9位で戻って来た岡本。そのレースラップは1分50~51秒と堅実。佐藤同様、ひとつずつ順位を上げ、87周目にはスタート順位と同じ6位に。そして97周目、岡本も待望の1分49秒台を出す。6クラス混走でクリアラップの取りにくい中、タイヤかすによって路面が荒れた中でのタイムだから、これは相当なもの。

これでFaust.RTのドライバーは、この週末、全員が49秒台を出したことになる。タイムは条件が違えば比較できるものではないが、刻まれた数値には意味も意義もある。レースでは負けん気やプライド、向上心、すべてを刺激する元である。
105周目、給油だけのピットインを終えた岡本が予選の失敗を跳ね返すようにコースに復帰した。給油のタイムロスでいったん7位に落ちたものの113周目6位に戻る。
レースも残り30分を残し、Faust.RTのBMWは、5位の前車とは1ラップ差、後の7番手とは40秒差という状況。後は周回を重ねてゴールを目指すだけである。ところが、最後の数周で岡本のラップが急に53秒台~55秒台へと急激に落ち始めた。マシンに異常か…!

無線で確認したところトラブルではないようだ。ただ、岡本の声が怪しいとの情報。
堀が無線で気合を一発「ラップあんまり落とさんといて」
岡本は「汗だか涙だかわかりませんグチャグチャです」
結果はST-1クラス5位、総合6位でのチェッカー。
スタートどおりの着順だが、中身は今まで以上に濃いものだった。

エピローグ

決勝を終えて岡本の思いを聞く。

「金曜日のフリー走行で感じたことは、Faust.RTのドライバー、3人が同じ車に乗っていて、感じ方も乗り方も違うのに、データロガーを見ると、どのコーナーを見ても見事に同じ。良い言い方をすれば、アマチュアとしては高いレベルまで来ているけど、悪い言い方をすればプロドライバー達とのラップ1~2秒の差は決定的なもの。ひとつひとつのコーナーを詰めていけば届きそうだが、その尻尾がつかめない。彼らが親切に色々と教えてくれるのも、レース毎、戦ってきたプロとしての経験から、『お前たちには負けない』という、ゆるぎない自信があるからだと思う。でも、同じフィールドで戦っている以上は負けてばかりはいられない。練習して、いつか追い抜く気概でやるしかない」
突きつけられたプロとアマの壁…この壁を乗り越えること、一歩でも上に近づくことが、Faust.RTのル・マンへの夢へと繋がる。
総監督の見崎が以前言っていたドライバーへの課題を思い出す。
「スタートしてすぐにレースラップに入ること」
「安定したラップを刻むこと」
これに関しては確実に前進していると思えた今回のレースだった。
次戦はコース幅が狭く抜きどころの難しい岡山ラウンド。
さらなるステップアップはあるか?

From Faust A.G. Channel on [YouTube]

さまざまなトラブルに見舞われながら激走するファウストレーシングチームの模様をムービーで!
★【YouTube:FaustA.G.チャンネル】でもご覧いただけます(スマートフォンの方 はこちらがオススメ)

Data

Fuji Speedway
2011.07.24/Course Length:4,563Km
Weather:Cloudy/Course:Dry
Faust Racing BMW Z4M COUPE
Driver岡本 武之/佐藤 茂/堀 主知ロバート
4h01'34.221 126LAP
総合6位/ST-1クラス5位

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