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Vol.11
波乱の最終戦、岡山ラウンド

2010スーパー耐久シリーズ第5戦、岡山国際サーキット。今年4戦目のレースで、Faust.RTにとっては、シリーズ2戦を残すが、年度を締めくくる最終戦となる。前2戦で総合6位-総合7位と続いた流れは本物か? ドライバー能力が試されるタフなコース、岡山国際サーキットでのバトルが始まる。

岡山国際サーキット





FIA公認の岡山国際サーキット、コース全長は約3.7kmと標準的ながら、山の地形を利用しているため、アップダウンと複数のヘアピン、タイトなコーナーが連続するテクニカルなコースだ。抜きどころが少ないため、スーパー耐久(S耐)のように性能の異なる複数クラスのマシンが混走するレースでは、追い抜き時、追い越され時にタイムを極端に落とすこともある。そのためドライバーにとってはマシンコントロールだけでなく、レース経験値も求められるサーキットだ。

昨年、Faust.RTはこの岡山のS耐で、ミッショントラブルをかかえながらも、メカ達の懸命な手当てで予選7番手を獲得、決勝も残りわずかというところまで総合5位を走行、最後はステアリングトラブルで総合16位となった。続いて同地で行われたアジアン・ル・マンもマシントラブルにみまわれ、周回不足で完走扱いにはならなかった。よって今年のFaust.RTのS耐最終戦は、口には出さずとも「昨年のリベンジ」を果たす絶好の機会となった。

紙一重で
アクシデントを回避した予選

9月4日土曜日、予選。
スタート直前、正午には気温が34℃を超え、湿度も60%以上。うだるような暑さは昨年と変わらない。レースで使うマシン、ポルシェ996の調子は良いようで、岡山のコースに合わせ「よく曲がる」とドライバーにも好評価。昨日行われたフリー走行では1回目に1分39秒台、3回目に40秒台と、昨年と同等のタイムを出していた。そのせいかピットの雰囲気も穏やか、マシントラブルが続いた昨年のようなピリピリとした感じはない。

今回のドライバーは前戦の富士に続き、堀主知ロバートと佐藤茂。それまで3戦連続Faust.RTで走った岡本は、シーズン前から予定されていた別チームからの参戦となった。そのためCドライバーにはプロドライバーの山野直也選手に再び走ってもらうこととなった。山野は初戦の菅生、2戦目の鈴鹿で、やはりCドライバーとして一緒に走っており、マシンセッティングや、Faust.RTのドライバーにアドバイスをする「頼りになるCドラ」だ。

予選1番手は堀。通常ならコースインした次の週周から計測ラップとなるが、まずその1周目、ストレートエンドでピットからコースインしてくる他車とラインが重なったため、追突しそうになり大きくタイムロス。計測2周目からがタイムアタックとなった。

最終コーナーを立ち上がって、ストレートを全開、そして1コーナーでアクシデントは起こった。前走車がオーバースピードでコースアウト、ダートを走行して再びコース内に進入、堀の目の前を横断するというサーカス技を披露してくれた。その直後から1コーナーに飛びこんだ堀にとってはたまったものではない。寸前のところで前走車をかわして事なきを得たが、下手をすれば予選でFaust.RTのレースは終わっていたところだ。

予選終了後インカービデオを再生したところ、目の前をカットするマシンと堀のリアルな説明を聞いて、ピット内は笑いに包まれたが、無事だからこその「笑い」事、暑さでヒートアップしているドライバーがいることだけは確かのようだ。

堀の予選タイムはそのアクシデントのあった次週がベストラップで1分40秒267。以降の3周を40秒台~41秒台でまとめた。同じポルシェ996を駆る他チームのプロドライバーから、わずか1秒落ちという堂々としたタイム。しかも996とはいっても相手は、プラスチック窓、カーボンドアパネルと軽量化の行き届いたマシン。重量ハンデを考えればなおさらのことだ。

ピットにいた山野から「速いね~」の声が飛ぶ。メカからも「スバらしい!」の一言。S耐はヨコハマタイヤのワンメークレースで、それぞれのチームで購入するタイヤはサイズこそ違え共通コンパウンド。仕様としては同じものが提供される。今年のタイヤは、基本的にライフ重視で、その分グリップ力が劣るため、予選タイムは昨年ほど上がらないと予想されていた。他チームとの比較から見ても、堀の出したタイムにチーム内が沸き立つのも当然だった。

続く佐藤もナイスアタック!

予選2番手は佐藤。ラリーストである佐藤の負けず嫌いもハンパではない。ピットでは笑顔の絶えない佐藤だがクルマに乗れば別人、3周目には自己ベストの1分40秒424を出す。予選はAドライバー+Bドライバーのタイムで決まるため、順位はクラス6位、総合6位。トップカテゴリーのST-1クラスのマシンとして、クラス下のマシンを1秒以上離し、きっちり押さえることができた。





最後に行われた山野の予選は、ニュータイヤではなく昨日使用したタイヤ、本番用のセッティングをにらみながらのもの。それでも計測ラップの1周目に40秒台を出すのだから、やはりプロドライバーは速い。3周ほど走り、セッティングを変えるためピットイン。再びコースへと出て行く。

コースインしてすぐに他チームのピットでひと騒動起きた。マシン火災が起こり、予選は一時中断する。消火器ですぐ鎮火したため大事にはいたらなかったが、異常ともいえる暑さに人だけでなく車も「ヤバイ」状況なのかもしれない。明日の決勝をトラブルなく乗り切ることを願うだけだ。

決勝序盤、6位を守り通す

9月5日、日曜日。
朝のフリー走行は8時半から。気温はすでに28℃、パドックの出店では凍らせたアクエリアスを売っている。今日も「アツい」一日だと覚悟しなければいけない。

決勝スタート時間は13時30分。堀がスタートドライバーで、順調に行けば32周、佐藤が32周、山野が残りを受け持つ。外気温は34℃、路面温度は44℃、雲が多く風があり、スタート時のコンディションは良好。

いよいよ109周の耐久レースがスタートする。スプリントのようにグリッドからのスタートではなく耐久恒例のローリングスタートだ。最終コーナー、堀は前車とやや距離をとる。レースではスタート直後の1コーナー~2コーナーもっとも危険なので、これは賢明。耐久レースの1周目でリスクを冒して、得られるものはわずかしかない。失う代償の方がはるかに大きい。

案の定、5位のポルシェ996と4位のポルシェ997の2台が、予選ラップ並みのスピードで激烈なバトルを繰り広げる。結果的にクラッシュなどはなく巻き込まれることはなかったが、それは職業ドライバー達の意地であって、次元の違う場所での戦い。クラス内の戦い、クラスを超えた戦い、プロドライバー同士のバトル、チーム間での争い、様々な要素が耐久にはからみ合う。

堀は序盤のレースラップ41秒台~42秒台として、後続との差を毎周回1秒ずつ広げ、ちょうど10周目には10秒差とした。ハイラップで周回を重ねる前方2台との差も徐々に広がっていたので、ここまではクリアラップの中での走りだ。

ところが、周回遅れがからみ出す11周目から後続との差が広がらない。ラップも44秒~45秒台に落ち、逆にタイム差を1秒ずつ詰められている。後ろはST-2クラスのランキングトップマシンで、サーキットでの経験値という点ではドライバーもズバ抜けている。周回遅れに対する抜き方が上手いのだ。

堀の踏ん張りはここから始まる。タイヤもタレはじめる中盤~後半、堀は、20周近くもの間、後続との5秒差を維持、32周目のドライバー交代まで順位を保った。

レース中盤、ポジションを維持

ドライバー交代、給油、タイヤ交換を行うピットインの間に、順位は13番手に落ちたが、続く2ndドライバーの佐藤は、周回を重ねるごとに順位を上げ、42周目には8位、46周目に7位、49周目には6位とポジションを戻していく。

佐藤が走るスティントは、コース上で周回遅れとの追い越しバトル。タイミング良く追い越せればいいのだが、追い越される方も「ここでは譲らないよ」という場合がある。上手に抜けるか抜けないか、クリアにラップが取れるか取れないかで大きくタイムが変わってしまう。



佐藤のタイムは序盤から中盤は42秒台~44秒台でタイムは伸びなかったが、後半、序々にタイムが上がりはじめた。ガソリンを消費することで燃料が軽くなっても、タイヤのグリップが落ちる後半には、ラップタイムは落ちていくのだが、ラリースト佐藤の中で何かハジけるものがあったのか、ピットイン直前の周回、65周目に1分41秒348の自己ベスト。タイヤもキツイはずなのに…である。

佐藤は結果、後続のST-2クラスのマシンに対し30秒近くのマージンを作った。ドライバー交代のピットインで順位を落としたものの7番手。貯金がものをいったことになる。ピット裏に戻ってきた佐藤は、
「今日のセッティングは、楽にドライブできるけどタイムが出なかった。最後は無理しないで、クルマなりに
素直に走ったらいいタイムが出たよ」と一言。

いったんコースに出てしまえば、路面やタイヤ、マシンコンディションなど、変化する状況に対しアジャストするのがドライバーの腕だが、堀に続き、佐藤も上手く自分の与えられたスティントを乗り切ったことになる。

波乱の終盤、落とし穴が…

3rdドライバーの山野がバトンを受けた時点で総合順位は7位だったが、全てのチームのドライバーチェンジが終了した80周目過ぎには順位は6位。このまま何もなければ、皆がやるべきことをやり6位スタートで6位フィニッシュ。当たり前のようだが、最高の結果を手にすることができるはずだった。

ところが、レース残りわずか10分というところで、思いもよらぬ展開となった。

まず、4番手を走っていた#81のGT-Rがコース上で白煙を上げながら走っていると、場内放送で告げられた。左フロントタイヤがバーストしているらしい。スローダウンだ。ブレーキのローター破損でタイヤを痛めたらしい。ピットに戻ってくるなり、即ガレージの中へ。走れる状況ではないと判断したようだ。

これで、ワンポジション上げ5位だ。このまま終われば過去最高のリザルトとなるが、「人の不幸を喜んだら必ず自分に帰ってくる」――堀のセリフだが、チームの誰もがその言葉を知っているので、上位チームのリタイアに歓声を上げるものはいない。

そしてその数分後、ピット内が再びざわめきだした。ドライバーの山野から異常アリの無線らしい。リアタイヤがバーストのようだ。神様は心の中まで見透かしているのか…

コース上をスローダウン走行しているためピットに戻ってくるまでの時間が長い。タイヤを用意して待つピットクルー。すべりこんでくるFaust.RTのポルシェ。ところが、右リアのダイヤにはバーストの気配がない。それでも異常があるのは確かだ。急いで右リアタイヤを交換する。…が、これがホイルーハブのボルトに入っていかない。2本目を急遽用意しタイヤチェンジ、ピットを離れたのは4分14秒後だった。

エピローグ

ガタ付きはホイールナットのゆるみと判明した。レースという過酷な条件下では、熱により思わぬところにトラブルが出るが、これもそのひとつ。タイヤが外れて飛んでいかないだけラッキーと思うしかない。

4分を超えるピットの停止時間だったが、最終的に抜かれたのはST-2クラスの1台で、他チームのマシンを2ラップ以上離していたことになる。決勝結果はクラス5位、総合6位となった。

最終戦を終え、堀に今年のレースについてどう思うか聞いた。
答えは「レースとしてはまとまっていたね」、その言葉の先は語らない。

3戦連続で6位-7位-6位、リザルトを残すという意味のある結果だ。モータースポーツは、他のスポーツ同様言い訳無用の世界、結果を残していかなければ、いずれは内部から崩れ去る。メンテリティを維持するには、強い意志に加え、結果も必要なのだ。だから結果として「まとまっていたね」…と勝手に憶測する。

もし足りないものがあるとすれば、次のステージに向けて、何か「トライ」、あるいは「チェンジ」を起こすのか? 3年目のS耐、そのチャレンジはいったん終わるが、ル・マンへ24時間への道はこれからも続く。

 

 

Data

スーパー耐久レースのオフィシャルサイト
http://www.so-net.ne.jp/s-taikyu/

ファウスト・レーシングチームのオフィシャルスポンサー

株式会社BRAINGROUP
http://www.braingroup.jp/

F1 PIT STOP CAFE
http://www.f1pitstopcafe.co.jp/

セインツシンフォニー
http://www.thesaintssinphony.jp/

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