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チーム・リアルディスカバリー、
世界最高峰の冒険レース「XPD」への挑戦

エントリー

過酷極まる10日間ノンストップレースに
サラリーマンが挑む

2011年10月31日から11月11日の10日間かけて、タスマニアを舞台に開催されたエクスペディションレース「XPD」。アドベンチャーレース(詳しくはコチラ)の最高峰と言われ、開催一年前に開始したエントリーはあっという間に埋まってしまうほど、競技者からは世界的に注目されるレースだ。出場チームは世界中から約90チームが集結し、トップを目指すチームは一年をかけて練習に励む、まさに冒険レースの世界大会と言える。
このXPDに、日本からは2チームが挑んだ。その中の一つ「イーストウィンド」はプロチームだが、もう一つの、「リアルディスカバリー」はプロではなく、本業を別に持つメンバーばかりだ。
そのチーム結成前、メンバーである南大介と小澤郷司は、エントリーを試みるも枠に入りこめず、一度は出場を諦めかけていた。しかしある日、大会主催者から連絡が入った。この時点からこの物語は転がり出す。
今回は“サラリーマン”である彼らがXPDという夢に挑む姿をお送りしよう。

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世界最高峰アドベンチャーレースの世界を見よ!
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大会主催者からの連絡は、キャンセルが出て枠が空いたというものだった。南と小澤は出場を決意する。しかし際社から現実はなかなか厳しく、出場するためにはクリアしなければならないことは山積みだった。まず仕事を持つ彼らは仕事先の理解を得なければならず、その上、予算、練習時間、なにより目的意識が共有できるチームメンバー集めが大きな課題となっていた。
そんな中でようやく組まれたチームだった。
チームキャプテンは昨年オーストラリアで開催された3日間のアドベンチャーレースGeoQuestに出場した南大介。そして小澤郷司に、紅一点の砂田芳子(以下ニックネーム「ナディ」)。そして国内のレースに早くから出場していたベテランの池田俊彦(以下ニックネーム「重鎮」)が加わった。
アドベンチャーレースには出場経験のある4名ではあったが、とはいえ最長レベルにあたる10日間レースには初挑戦のメンバーばかりだ。体力や練習、食料、そしてレースの戦略の立て方etcすべてがこれまでとはケタはずれであり、想像を絶するといっても過言ではない。不安だらけではあるが、ただ彼らは日本人が一番苦手とされる英語のコミュニケーション力に優れていた。海外のレースに出場するにあたり、大会側から送られてくるたくさんの指示書がスラスラ読めなければ、それだけでもストレスの対象となる。当然現場でも同様だ。今回集まった4名はそれを完璧にクリアしていた。

リアルディスカバリーのメンバー

右から、南大介(キャプテン)、34歳、アドベンチャーレース歴8年。
重鎮(池田俊彦)、58歳、アドベンチャーレース歴14年。
ナディ(砂田芳子)、3x歳、アドベンチャーレース歴6年。
小澤郷司、35歳、アドベンチャーレース歴9年。

レース2週間前

体育館を貸し切るほどの装備の山!
膨大な準備に追われる日々

貸し切った体育館に広げられた装備品の数々(トップ写真も)。

10月16日、出発を11日後(27日)に控えたリアルディスカバリーのメンバーは千葉にある浦安体育館を借りて、装備のチェックを行っていた。仕事で遅れると連絡があった小澤の分は南が車に積んで持ってきていた。広い体育館に並べられた装備品の数々。さすがに10日間ともなるとその量も半端ではない。このためにサポートを受けたモンベルはじめ、新調したウェア、ギアの数々。食料は持ち込むものと現地に直送するものとに分けた。航空機でのオーバーチャージを考慮し、できるだけ日本から持ち込む量を減らす作戦だ。
まず几帳面な南は、一つ一つ丁寧に並べる。この時点で必要な装備品はほとんど揃えていた。
一方、ナディはまだ必要装備が揃っておらず、仲間達から心配される声も聞かれた。その心配は後で的中する。元々オーストラリアへの食料の持ち込みは検疫が厳しいため長い時間が要されるのは想像できた。そのためチーム内では早めに現地へ食料を送ることを予定していた。そんな中、出発直前になってカンタス航空が大規模なストを行い、遅れて出した食料が届くかどうか微妙な状態になるのだ。
重鎮は、国内のレースの中でも最年長クラスだ。「XPDの出場メンバーを探していると聞いたとき、自分の年齢を考えても、もうこんな機会はないかもしれないと思って手を上げた」という。
最後に、仕事で装備チェックに遅れてきた小澤は、このチームのムードメーカーで、体力も一番ある。また重鎮以外の二人とは、昨年海外レースを共に経験しているキーマンだ。その教訓を生かし、今回はパーソナルトレーナーをつけて体力強化を図っていた。それは南も同様だった。
4人にとって未知の世界となる10日間のレース。普段企業でバリバリと働く選手にとって、限られた時間をやりくりして練習をこなし、大量の装備品の準備は当然大変だ。しかし彼らはその忙しさを楽しんでいるようでもあった。

レース4日前

いよいよ開催地タスマニアのバーニーへ
注目される日本チーム

29日、リアルディスカバリーはオーストラリアのメルボルン空港を経て、タスマニア、ローセストン空港へ降り立った。この日は出場する多くのチームが現地入りする日でもあった。そのため荷物を受け取る場所には、メディアが出場チームのコメントをとろうと待ち構えていた。13時間に及ぶフライト後でありながら、現地入りしてテンションの高まるリアルディスカバリーは、着いて早々、大会主催者側によるインタビューのため集められた。キャプテンである南は、英語の質問にちょっと緊張しながらも丁寧に答えていく。「4ヶ月の準備期間しかありませんでしたが、ここまできた。あとはチーム一丸となりゴールを目指すのみ」と意気込みを話った。

そんな中、空港のターンテーブルが動きだし、大きな荷物が続々と流れてきた。荷物のサイズも量も半端ではない。いつもならこのターンテーブルの上を、麻薬犬ならぬ、生ものの持ち込みがないかチェックする荷物検査犬がかぎ回るのだが、この日は姿がなかったようだ。
ここで、足りない装備をローセストン市街地で現地調達するチームと、大会主催者が用意してくれたバスで全ての荷物と共に会場となるバーニーへ向かうチームとに分かれて行動することになった。
車の中でナディがふとこんなことを言った。
「今回のレース、私の中では旅と位置づけられているんです。10日間、旅をするぞって言う気持ちで臨もうと思っているんです」
これまでレースの勝負や結果ににこだわっていた彼女からするとどこか意外な一言だった。彼女にとって初めてのロングレース。たぶん目的意識を変えなければこのレースは楽しめないという思いに至ったのだろう。

大雨の中、2時間バスに揺られ、タスマニア北西部の小さく美しい港町バーニー入りした4人は早速荷物のチェック。ホテルの部屋は足の踏み場もないほどで、黙々と作業をするメンバーたち。自転車を組み立て、装備品や食料を振り分けていく。翌朝、部屋では狭くて確認できないからと、全ての装備を持ち出して屋外でチェックをすることになった。一つ一つ装備品を読み上げながら、忘れ物がないかを確認していく。選手たちの自由時間が確保できるのはこの日までだ。

レース2日前

世界から強豪チームが集結
すでにレースは始まっている!

31日、いよいよイベントがスタート。
早朝からレジストレーションが行われた。いわゆるチーム登録だ。世界中から集まった約360人の選手たちにより、建物の外まで続く長い列ができた。
「元気だったか?」「今回はどんなコースだろう」
久しぶりに会う国境を越えた仲間たち。選手たちの間でそんな会話が飛び交う。
登録が済むと、次はチームのスキルチェックとして、ナビゲーション(※詳しくはコチラ)とファーストエイドに関するペーパーテストに選手たちは取り組まなければならない。コンパスや地図の扱いや道に迷った時、蛇にかまれた場合や低体温症など、緊急事態を想定した対処法のテストだった。90ものチームが埋め尽くし、賑やかな会場。リアルディスカバリーのメンバーはどこか緊張しつつもその雰囲気を楽しんでいた。

バーニーの街で一番大きな競技場を貸し切り、続いて、ウェルカムブリーフィングが開催された。国内のアドベンチャーレースに何度も出場しているメンバーだが、これほど多くのチームを見たことがない。しかし、この時点でもコースは発表されない。スタート24時間前に発表されるのがXPDのスタイルなのだ。

主催者の挨拶を終えたあと、選手たちはメディカルチェックと装備チェックを行う。会場には選手たちのたくさんのテントが並び始めた。大会スタッフに呼ばれたチームは自分たちのテントと必須装備を見せ、チェック。リアルディスカバリーも問題なくクリアした。
夜、スタートまでの作戦会議に入る。やることは山ほどある。スタートまでの時間を無駄にしないよう、やるべきことを書き出すことにした。

レース前日

スタート24時間前に公開された
35枚に及ぶ膨大な地図

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総距離738キロに及ぶ10日間の長大なコースを見よ!
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レース前日、いよいよコースが発表される。
その前に、選手たちは会場に集められ、今回のコースのイメージ映像を見ることになった。大きなスクリーンに空撮された地形とルートが浮かび上がる。と、同時に選手たちの歓声が上がった。
「興奮してきた!早くスタートしたい!」
映像を見終えたリアルディスカバリーのメンバーがそんなコメントを返してくる。それは選手誰しもが同じだった。
コース地図は1/50,000と1/25,000、そして空撮を含め35枚。一列に並べられたそれらの地図を一枚一枚丁寧にとりながら
「凄い!いっぱい地図がある」
と満面の笑みでナディが答える。地図と指示書、修正点を加筆したメンバーは、急いでホテルに戻った。

最後の荷物のパッキングだ。何十か所にも及ぶ各トランジションエリアで必要な装備と小分けされた食料を、バイクボックスと5つのトランクに詰めなければならない。数時間後には、大会側の車両がピックアップにくる。一つのトランクには25キロまでしか入れることはできない。もちろん4人分でだ。トランクはトランジションエリア毎に振り分けられるため、間違えは許されない。
「レースはすでにスタートしているんです」と重鎮。
いつしか4人の表情が変わっていた。

山岳、洞窟、森林、海…
大自然の736kmに挑む!

大会本部には大量のトランクやバイクボックスが集まってきていた。トランクはどのチームも同じものなので、ロングレースに慣れているチームは探すことのないように色分けしたり、ステッカーを貼るなどして工夫されていた。全てのチームの荷物がチェックされるため、ここでかなり時間を要することになった。ただ荷物を出してしまえば、あとはチーム内での作戦会議に集中できる。

シーカヤックやレイクカヤックが123km、
マウンテンバイクが430km、
トレッキングやケービングが183km、
・・・総距離736km!

ルートを地図で照らし合わせながら、彼らの作戦会議は夜遅くまで続いた。
いよいよ明日から10日間かけてレースが始まる。トップ選手たちの目標は「5日間でのゴール」だが、リアルディスカバリーは「レースを楽しむこと、そして何より仲間と完走すること」が目標となった。

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レース前日、わき上がる興奮を抑えきれない選手たち。
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Data

XPD Tasmania 
Adventure Racing World Championships 2011

公式サイト
http://www.trackmelive.com.au/xpd2011/
 

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